G.ガルシア=マルケス  『族長の秋』

 ガルシア=マルケスの『族長の秋』を読み終わった。先日よみおわった『予告された殺人の記録』ほど物語的に圧倒されなかったけれど、南米における権力のわけのわからなさみたいなものがよく出ていて面白かった。学生時代、権力移行論の本を読んだけれど、そんなかつての自分がからかわれているような話で、すがすがしささえ感じてしまった。
 権力の不条理みたいなテーマだとカフカが代表的だと思うけれど、カフカが南米にいくとこんな風に猥雑さが加わってにおいも光線も強烈になるのかもしれない。しかもカフカは『城』や『審判』のように権力の周辺からその不条理性を追求したけれど、『族長の秋』は権力の中枢の空洞化をしつこく描いている。独特の時系列をもつこの作者の手法は、この物語でも面白かった。他に読める本ないかな?

今日は、映画『ソラリス』をDVDで観た。スティーブン・ソダバーグ監督作品で、ジョージ・クルーニー主演。全然、SFっぽくなかった。舞台劇にしたら、結構いけるのじゃないかと思った。夫婦についての物語としては面白かった。タルコフスキー版もみてみたいな。