レ・ミゼラブル

 久しぶりにここに書いています。みたら2年以上たっていました。
自分のブログでもなんだか照れくさいな。

 でも昨日、これも本当に久しぶりに(もしかしたら一年ぶりくらい?)映画館に行って、『レ・ミゼラブル』みたら、なんだかブログに書きたくなった。
レ・ミゼラブル』、正直ミュージカルもみにいったことないし、原作の小説読んだのもはるか遠い昔のことで、筋もあんまり覚えていないし、それほど感銘を受けた小説でもなかったので、特に映画にも興味はなかった。けれども年末、中公新書の『ガロア』を読んでみたら、妙にこの時代のフランスのことを映像でみたくなったのだ。

 そもそもこの『ガロア』がなかなか面白かったのだ。今まで私はガロアのことは悲劇の天才数学者というイメージでしかとらえられなかった。アサハカにもつまらない恋愛沙汰の末の決闘で人生を棒に振った血の気の多い情緒不安定の天才。そんなつくられたイメージに私も長年ハマっていた。(まあだから数学とは無縁の私にとっても気になる人物だったのだけれど。)でもこの本では、ガロアが生きた激動の時代背景が丁寧に描かれていた。特に『レ・ミゼラブル』の蜂起の舞台になった1832年ガロアは亡くなっている。本ではそのあたりの事情も丁寧に描かれていて、過激な共和主義者だったガロアの行き場のなかった事情がなんとなくわかった気がした。
 
 そんなこんなで『レ・ミゼラブル』をみに行ったのだけれど、やっぱり映画をみていてもあんまり小説の筋を思い出せなかった。ヒュー・ジャックマンアン・ハサウェイの演技はなかなかすごかったが、どちらかっていうと本来ならジャン・バルジャンのイメージはラッセル・クロウの方があっていたかもな。エポニーヌ役の歌がうまかった。でもやはり映画で一番面白かったのは、時代背景が実に色濃く反映されていたとこかな。本当にこの時代のフランスは大変だったのだろうな。フランス革命からナポレオンが出てきて、そして王政復古、1830年七月革命、それから1848年の二月革命まで、こんなに政治体制がコロコロと変わった時代も珍しい。特に1830年前後は、ドラクロワの絵でも有名な七月革命があって、でもその結果、ルイ=フィリップのあんまり代わり映えのしない大ブルジャワジーのための政治がはじまり、多分、1832年っていうのはそういう政治に深い幻滅感が漂っていたのだね。
 特にね、映画の中で「バリゲードの向こうに明日がある」って歌うのだけれど、バリゲードはフランスの内乱の時の名物で、なるほどパリって本当にバリゲードを築き安い街だったんだなあと思った。また、パリは壁に囲まれていて壁の向こうに労働者のための街が広がっていたり、産業革命に突入しようとしている、フランスの様子も映画の中の工場の風景からもうかがえる。
 そしてこのパリの様子は、1870年代映画『オペラ座の怪人』の頃にオスマンの改造計画によって大きく変わっていく。バリゲードを築くのに適している小路は破壊されていった。そのことに思索をめぐらせたのが、ベンヤミンの『パサージュ論』ってわけね。

 なんてことをぼんやり考えながら映画をみていた。でも久しぶりの映画館だったので、暗闇の中の映画がまぶしすぎて、目が痛くなった。何だか年取ったな。前は映画4本までは確実にはしごできたのにな。ああこれじゃいかん、いかん。

映画は薬?

今日でお盆も終わり。暑いせいなのか、少しまとまった休みのせいなのか、完全におちています。自分でもウツウツしすぎだなとは思っているけれど、何ともならない。本当は、ここで8月初めに行った滋賀旅行(草津に滞在して、大津や彦根信楽などを旅行した。)のことでも書こうと思ったのだけれど、写真もまだデジカメに入ったまんまだし、もう何もかも面倒で嫌になっている。
 こんなんじゃダメだよなあ。しょうがないので録画しておいたドラマでもみようとしたのだけれど、どうも落ち着かない。そうしたら何か映画が急にじっくり観てみたくなった。それでまあ映画館まで行く根性もなく手持ちのDVDプラスレンタルってことで、ほとんどこの3日間、映画観ていました。全部、韓国映画です。久しぶりに観たのは、次の通り。(多分、ネタばれあり。)

 『京義線
 ソウルの地下鉄の運転手の男(キム・ガンウが演じている)と大学の非常勤講師の女(ソン・テヨン演じている、いまやクウォン・サンウの奥さんですよね)が、京義線の最終列車に乗って寝込んでしまい、雪のイムジン河駅に取り残される。実は、男は自分が運転していた列車に飛び込み自殺があり、女は大学教授との不倫旅行に行くつもりが相手の妻にバレてダメになった末に電車に乗ったのだ。二人はが雪道を歩いていくうちに、互いの抱える問題について知るという内容。
 この映画、実は前にちょっとだけ観たことがあったんです。ですから結末は知っていたのですが、あんまり強い盛り上がりがある映画でもないのだけれど、妙に心に残るところがある映画です。多分、イムジン閣にもこの隣の駅であるトラサン駅(韓国人は行けない場所です。すぐそこは北朝鮮ですから。)にも行ったことがあったので親近感がわいているからか、ヒロインがドイツ文学の非常勤講師で教授になれるあてもなく結婚に逃げることもできず、教授との不倫を送りながら非常に行き詰った生活を送っていることに共感しているからか、個人的に惹かれる要素がたくさんあるからなんだろうけれど、それでも主人公二人の抱えた問題にもそこからのささやかな立ち直り方もいいなあと思いました。キム・ガンウは映画では『台風太陽』、ドラマだと『ザ・スリング・ショット』くらいしか観たことなかったけれど、いい俳優だと思う。

 『ホワイト・クリスマス 恋しくて、逢いたくて』
いやあ、これは前にも観たことあったんです。ソン・スンホンキム・ヒソンキム・ヒョンジュの時間を越えたラブ・ファンタジーです。あらすじは特に書く気にはならないし、この映画の中でのキム・ヒョンジュのストーカーまがいの行動と、ソン・スンホンの思い込みの激しさはほとんどおめでたいくらいなんですけれど、でもなぜかこういうの嫌いじゃなかったりして、時々、こういう映画に溺れたくなります。(ハハハ)

 『あいつは格好よかった』
 コノ映画は『オオカミの誘惑』の原作者と同じクィ・ヨニの作品で、当時中学生であった作者のインターネット小説として有名(らしい)です。
 ある女子高の掲示版にそこの生徒をけなす書き込みをした番長(ソン・スンホン演じる)に対して、公然と批判した女子高生(チョン・ダビン)は、相手から「ぶっ殺す」と脅される。彼女は彼から逃げ回っているうちに行き違いから彼とキスをしてしまい、挙句に相手から「結婚しろ、彼女になれ」と脅されるという内容です。ある意味、少女の妄想を全面的に押し出して成功していると感じで、まあこういうのも時には悪くないかも(?)。
 この映画、確かに他愛ないのですが、何だか観ているうちに切なくなってしまいました。チョン・ダビン、もう死んでしまったんですよね。ドラマ『屋根部屋の猫』にしても、この映画にしてもこんなにも溌溂としてかわいらしかったのにねー、そういえば、この前自殺したパク・ヨンハもこの映画の主人公を演じたソン・スンホンと仲が良かったらしいですね。お盆なのでご冥福を祈りたいです。

 『ダメ男の愛し方』
 教職一家に生まれたチャランポランな男(パク・コニョン演じる)が校長だった祖父にクレジット・カードをとめられそうになり、いやいや先生になる。そういういい加減な教員に対して、同僚の女教師(キム・ヒョジン演じる)が業を煮やして再教育しようとするのだが、という内容。
 いやあ筋は、どうでもいいです。『ダンサーの純情』『DMZ』のパク・コニョンの気の抜け方が格好いいです。

 『ミスにんじん』
 話題作だったので、どんな話なのかなあと思っていました。学校で不人気のロシア語の教師(コ・ヒョジン演じる)が恩師で同僚の国語の教師(イ・ジョンヒョク演じる)に恋愛感情を持って、思い込みのまま突っ走っていく内容。国語の教師で学校で仲間はずれになっている娘(ソウ演じる)と共同戦線を組んで、他の女性教師との不倫を阻止しようとしたり、文化祭に出演するハメになったり(何と出し物は『ゴドーを待ちながら』!)、滅茶苦茶なドラマです。
 ロシア語が不人気なあまり、コ・ヒョジンは中学の英語の教員にまわされて、仕方なく英会話教室に通ったりするんだけれど、何とその英会話の教師はポン・ジュノ監督だったりします。(パク・チャヌク監督も出ているらしいんだけれど、私はわからなかった。)コ・ヒョジンは俳優として本当に幅広い役できるんだなあと感心した。こういう映画もあっていいよねという映画だった。

 『甘いウソ』
 高校時代に好きだった男性(イ・ギウ演じる)の車にぶつかってしまい、とっさに女(パク・チニ)は記憶喪失のフリをして、彼の家に入り込んでしまう。やがて彼女の居所をつきとめ迎えにきた幼馴染の男(チョ・ハンソン演じる)も巻き込んで、女はウソをつき続け、しかも初恋を成就させることができるのかというような内容。
 コノ映画も実はマカオに行くとき観ていて、途中で終わってしまったのでまあ結末だけでも見ておきたいって感じの映画でした。結末知ってホッとした。
 
 『純情漫画』
 市役所に勤める公務員(ユ・ジテ演じる)と同じマンションに住む女子校生(イ・ヨニ演じる)とのほんわかした恋愛とその市役所に公益勤務員として勤める若い男(カンイン演じる)と恋人と別れた大人の女性(チェ・ジョンアン演じる)という二組の恋愛模様を描いたマンガが原作(らしい)映画です。
 ユ・ジテは結構好きな俳優で、多分映画出演作ほとんど観ている(『ナチュラル・シティ』だけは観ていない。)んだけれど、うーん、女子高生との恋愛はちょっとでした、やっぱり。いやあ社会的には12歳差なんてよくあるんだろうけれどね。でもチェ・ジョンアン演じるどこか悲しい女性っていうのが良かったです。映画の中の風景とマッチしていて、美しい。元々、チェ・ジョンアンきれいで好きですしね。全体的にはとてもきれいで丁寧な映像に惹かれました。また韓国に行って色々写真とりたいなあなんて思える映画でした。

 『恋する婚活プランナー』
 抜群の成婚率を誇る結婚相談所所員(シン・ウンギョン)は自分の恋には全く不器用である。ある日、その結婚相談所一の問題会員(チョン・ジュノ)の結婚の世話をすることになるのだが、というラブ・コメの王道みたいな内容。ただ、コノ役を『SSU』や『花嫁はギャングスター』などの姉御肌っぽいシン・ウンギョンがやっているのが面白いのかもな。個人的にはドラマ『彼らが生きる世界』のキム・ヨジン(『イ・サン』の王妃も演じている。)が出てきていてよかったかな。

とまあ、こんな感じのラインナップ。肩がこらない作品が多く、映画でリハビリしたって感じした。さて、これからホン・サンスの映画を観てみようかなあ。

足利へ

 何とか年度末を切り抜けて、新年度に滑り込んだ。明日からまた多忙の日々です。
4月に入ってここ数日が例年のお休みなので、旅行も最近は大体この時期に計画することが多いです。ちょうど一年前のこの時期はソウルに行ったのですが、今回はゆっくり家の片付けなどもしたくて、近場にしようと思い、四月一日から栃木県の足利に一泊旅行に出かけました。
 足利は昔から色々な意味で行ってみたかったんだよね。有名な「足利学校」もさることながら、足利幕府以前の足利市の本拠地として、昔からちょっと興味を持っていました。といっても多分、鎌倉時代を感じさせるものはそれほど残っていないだろうけれど、街の中をぶらぶら歩くのには最適な規模の街かなと・・・。
 距離的には東京に近いとは思うのだけれど、路線的には乗換えが多くて面倒だったので、新宿から高速バスで佐野まで行き、そこから両毛線にのって足利に向かうというルートにしたんだけれど、出だしから計画不足だらけだった。まず高速バスの乗車票忘れて(でも乗れましたけれど)、化粧道具一式忘れて(足利で買えばいいよねと思った。)、極めつけがバスが佐野は佐野BTっていうのが、駅前じゃなくて、アウトレット近くの郊外だったということに着いてから気づいたのです。結局、佐野BTから佐野駅までずいぶん時間をかけて戻ることになり、列車で行ったら当然乗れたはずの両毛線にものれず、一時間佐野をぶらぶらすることになってしまったのは誤算もよいところ。
 佐野は十年近く前に友人と遊びに来たことがあって、それ以来だったのだけれど、その時は車で来て、厄除け大師の周辺しか歩かなかったので、今回は足利までの両毛線を待ちながら駅の周囲を散策しました。駅前に田中正造の生誕の地の碑があったり、駅前に佐野城址(12年間だけ使用された城らしいが、遺構はそれなりに残っている。)を見れたりしたのが良かった。
 足利に着いて、予約しておいたホテルで荷物を預かってもらい、街の中をぶらぶらしました。足利の居城跡のばんな寺はさすがに大きな寺で世界遺産になれるかどうかは知らないけれどなかなかのものでした。足利学校も近年建物を再現したりしたせいか当時の感じが出ていて良かったです。大正時代の建物も図書館として残っていたし、長い間、教育の中心地だったということがわかります。

 
 足利学校見学後、あいだみつおが通ったという「なかがわ」というところでお昼にそばを食べて(コシが強くておいしかったです。)、午後は市内の割と小さいお寺をめぐりながら歩き回りました。そうやってぶらぶら歩いている時のほうが、鎌倉武士の生活とか北条時政の婿でなぜ足利氏だけが生き残ることが出来たのかとか普段はあまり考えないようなことにも考えが及ぶから不思議なものです。
 夕方になって化粧品を買いたいと思い、コンビニやドラッグストアを探したけれど全然見つからなかった。途中でマツキヨを見つけてやったと思ったけれど、薬しかなかったです。今更ながらマツキヨって薬屋だったことに気づいた。(最後は駅近くでコンビニを見つけましたけれどね。)その途中で渡良瀬川沿いをさまよっていたら、かの森高千里の名曲「渡良瀬橋」の歌碑を見つけてしまいました。渡良瀬橋って本当にあるんだねえ。何となくもっと小さい橋を考えていました。昔、この曲聞いていたら、「ところで彼女がこの街を離れられない事情って何なの?」母に聞かれたことがあったな。一体、どんな事情だったのだろうか?きっと家業が大変だったのかもな、それか寝たきりの家族がいるとか・・・。久しぶりに森高千里の曲について考えてしまいました。

 翌日は、足利の隣の富田にある栗田美術館に行きました。ここは伊万里と鍋島のコレクションで有名らしいです。最近、焼き物が結構好きになってきたので、美術館などに見にいったりするのが楽しみになってきたんだけれど、実はあんまり伊万里とか鍋島は興味もてなくて、何か格調高い感じがちょっとねえって感じでした。(それにしても焼き物が好きになってきたなんて私も年取ったね。)
 でもこの栗田美術館で、いい意味で裏切られました。伊万里っていうのは、海外輸出向けの製品で、その形状からデザインや出来まで、実に千差万別なんだなあということを実感しました。乱製造気味のものもあれば丁寧に作られものもある。また次々と新奇なものを求めて自由奔放にデザインが広がっていくような伸びやかさがあり、見ていて楽しかったです。そして鍋島のすごさに今まで全く気づきませんでした!いやあ、あれはすごいです。元々鍋島藩のためだけの焼き物である鍋島は一般普及品でないせいか、一点一点が最高水準を目指して存在しているという感じで、高台の模様一つとっても手抜きが全くない。素人目にも緊張感が漂っています。そして最高級のものを求めて、デザインとか前衛的で大胆なんですよね。大変面白かったです。 

 この足利滞在の行き帰りはバスで時間があったので、『朝鮮の土となった日本人 浅川巧の生涯』を読んだ。戦前に朝鮮にこんな人がいたということがすごいと思った。というより、いついかなる時代であってもこんな風に生きられる人がいるんだということに驚く。文中の安倍能成の浅川巧に対する言に共感した。安倍能成は戦前に京城帝国大学の哲学科の教授として過ごしながら、結局はそこに根付くことができないことを痛感していた。私自身、旅行をしながらいつも自分自身について思うことは、私が旅行が好きでありながら、旅行者としては失格であるということなのだ。失格というよりは、基本的には旅行下手ってことだね。今回もそう思いました。

 

彼らが生きる世界

 いよいよ明日から3月か・・・。年度末のこの時期、忙しくなってくると、ますます部屋から出られずに、仕事だけがたまっていく。そのせいかついつい簡単に見られるテレビドラマ(か、軽く見られる映画とか)を多くみることになってしまう。ここ何年かのこの時期の年中行事になってきてしまった。
 最近みたドラマといえば、「イブの反乱」。韓国版「デスパレードな妻たち」という歌い文句がついてまわるドラマだけれど、本家をみていないので何ともいえない。最初は「花男」のキム・ボムのデビュー作って感じで見始めたのだけれど、面白かったです。何ていっても軽く見られたし、ソウルの2006年の夏の情景がなかなかよかったです。
 で、2007年のソウルの夏の情景が垣間見られるのが、今みている「完璧な恋人(原題では「隣人」)に出会う方法」です。私がはじめてソウルに旅行に行った時に放映していた作品なので、親近感をもってしまって、ストーリーとかあんまり期待せずに旅番組の延長みたいに見始めたのだけれど、予想外に面白い。ドラマ、コメディ、サスペンスの要素全てがごったまぜになっているんだけれど、割と破綻なく進んでいくのよね。ペ・ドゥナキム・スンウはじめみんな芸達者だし、結構豪華なドラマだよなあ。といっても、一番嬉しくなってしまうのは、ああ2007年の夏、ソウルでモネ展やっていたよなあとかトクスグンのまわりの道、私も歩いたとかそんなことばかりです。
 それでもって、最近一番心に残っているドラマはやはり「彼らが生きる世界」です。「グッバイ・ソロ」のノ・ヒギョンの脚本なので、ヒョンビンとソン・ヘギョ主演といっても、ありきたりのトレンディードラマにはならないだろうし、一風変わったドラマになるだろうなと思ったのだけれど、期待通りでした。ノ・ヒギョンの脚本は本当に味わい深いセリフの数々に脇役まで生き生きと動いていくドラマ展開、善人でもなく悪人でもない人物設定、本当に丁寧なよいドラマだなと思えます。視聴率は思ったほど上がらなかったらしいけれど、まあそうだろうな。我々はそこまで思慮深い視聴者ではないから(笑)。いつか「グッバイ・ソロ」もこの作品もゆっくり見直してみたいけれど、今のところちょっとムリ。

 ドラマ以外では、最近、国書刊行会の「新しい台湾の文学」シリーズにはまりつつある。今まで文学でアジアのものを読むことは全くなかったのだけれどね。今のところあんまり集中して本を読む時間がないので、遅々として進まずなんだけれど・・・。『台北ストーリー』などは予想外に都市的で読みやすかった。台北でも東京でもそのほかどこでも世界中の都市が加速度的に代替可能な記号になって現代では、それがいいのか悪いのかよくわからないけれど、結局は均一になっていくからこちらも読みやすくなるわけだ。そもそもそうでなかったら私は台湾の文学を読もうとは思わないかもしれない。あちこち旅行に行こうとも思わないかもしれないなあ。でもそうはいってもやっぱり台北ならではの肌触りがあるわけで、やはりそういうものにひかれて読んでいるような気がする。

無為に生きる

 書くことは何もないのですが、明日から死ぬほど忙しくなって、また、しばらくはここに書けなくなるだろうから、ちょっとあけてみました。という訳で、今日は最後のお休みって感じで、午前中は結構徹底的に掃除をして(年末も大掃除しなかったから)、午後はのんびりと散歩に出かけました。街の中をあてどもなくふらふら歩いていたら、あちこちで梅が咲き始めていて、ちょっと嬉しかった。我が家のベランダでも白梅(盆栽だけれど)が咲いています。こういうのって小さい幸せっていうのかなあ、いいよなあって思う一方で、退屈さを引き寄せて生きているみたいで嫌になることもある。
 帰りはTSUTAYAに寄った。いい加減に「花男」から抜け出さなくちゃと思い、「彼らが生きる世界」と「イブの反乱」を借りてきた。「彼らが生きる世界」は「サムスン」のヒョンビンと「フルハウス」のソン・ヘギョが出ている。この作品のサントラは実は最近のお気に入り。作品をみないで、サントラを聞くっていうのは私としては珍しいパターン。そういえば、最近、映画を全然観なくなってしまった。昨年見た映画はDVDを含めてもわずかに30本。最後に見たのは、「のだめカンタービレ」何だか情けないほどアホ路線を突っ走っている。どうしてこんなにも映画を観なくなってしまったのかなあ?自分の行動がさっぱり理解できないけれど、少し疲れているんだろうね。しばらくは映画はお休み。
 ここ何年か、大河ドラマ、結構ノッてみていたのだけれど(例、「篤姫」とか「天地人」)、何か今年の「竜馬」は、実は今のところ正直あんまり面白いと思えない。俳優陣は結構好きだし、映像もところどころいいなあって思えるのに何でだろうね?今日も、う〜ん・・・でした。これから「日本と朝鮮半島2000年」をみるので、このへんで。このシリーズは、いつもなかなか面白いですけれど、今日で最終回かな?

空の写真は、素人にとって、いつでも「詩」もどきになるから好きです。

カム・バック まずはマカオ

 本当に久しぶりのブログです。この前から、一年以上たっています。自分でもそんなに書いていないとは思ってもみませんでした。
 特にこの一年何をしていたという訳ではないんですけれど・・・(笑)。この一年の変化といえば、引越しをしたことくらいですかね。前に住んでいたところの近くなんで、生活圏はほとんど変わりません。未だに片付けが終わっていませんが、居心地はなかなかよいですし、窓からの眺望が好きです。あとは相変わらず仕事が忙しい。故にいつも何か趣味に没頭できずに悲しい。本もあんまり読めないし、ライブに行ったり映画に行ったりするのが体力勝負(大げさにいえば命がけ)みたいになってきてしまいました。これからは少し方向を考えていかないとね、と思う今日この頃であります。
 
 そうそう新しい趣味といえば、引越しして日当たりがよくなったので、園芸に力をいれています。典型的なベランダ園芸だけれど、ついにバラ栽培を始めることにしました。昔からガーデニングはそこそこやってきたけれど、バラだけは面倒だから敬遠してきたんですよね。でもやっぱりバラかなと思い、今年はちょっとがんばってみます。
めざせ、ロザリアン!

 あとは昨年は春はソウルへ3泊4日、夏に対馬へ4泊6日、そして年末にマカオへ3泊4日の旅行をしました。本当はそれぞれ旅行記を書きたいのだけれど、時期を完全にはずしてしまっているので、年末のマカオ旅行だけ簡単に書いておこうと思います。

 マカオは昔から行ってみたかったんです。ポルトガルの植民地だったところだから東西文明が融合しているところなんだろうなって思っていました。今回のテーマは、マカオ世界遺産30コ全てまわろう!ってこと。というわけで、12月27日〜30日、母と出かけました。(安いフリーステイのツアーって一人だと割高なんですよね。しかも自分の趣味全開の旅行の場合は友人を犠牲(?)にできないので、最近はたいてい母を犠牲者にしています。)
 マカオへは、キャセイパシフィックで香港に飛び、そこから快速船でマカオに向かいました。飛行機で飛んでいる時間は4時間半くらいで、そんなに長く感じないのだけれど、船での移動が面倒。朝5時に家を出て、マカオでの活動開始が夕方の5時くらいからでした。(時差は日本と1時間)
下の写真はマカオの夜景、カジノ・ホテルのネオンがすごすぎた!

 滞在先のグランド・エンペラー・ホテルは、イギリスの宮殿がテーマのカジノ・ホテルで、ロビーに金の延べ棒が敷いてあって、バッキンガムの衛兵交代を真似している笑っちゃうホテルでした。ただカテドラル広場やセナド広場などの世界遺産に近くて、コンビニや銀行が近く、ニューヤオハン(デパート)が隣にあって、とにかく交通の便が良かった。とっても便利でした。

 それから世界遺産は、30箇所きちんとまわれました!思ったほど過酷でもなく、ほとんど歩いてまわれました。知らない街を歩くのは旅行の一番の楽しみです。それから今回は特に食べ物が大変おいしくて、ポルトガル料理も中華料理も選んだレストランは全てあたりでした。(二年前の台湾旅行ではほとんどハズしたという痛い過去があるので嬉しかった。)
下の写真は、ホテルに近かったカテドラル広場。広場の周りのアズレージョ(青タイル)がきれいです。

マカオのシンボルといえば、やはり聖ポール天主堂跡、小さい頃からここに来てみたかったのです。
着いた日の夜、雨が降っていて、人がほとんどいませんでした。

翌日はこの人だかりです。

そして天主堂の裏側は実はこんな風になっている!

どこからでも見えるマカオ・タワー、このタワーには二日目の夜に行ってみました。展望台の床の一部がガラス張りになっているのが、こわかったです。それからこのタワーの中の360℃レストラン(ビュッフェです。)、なかなかおいしかったです。回転するレストランで夜景がきれいだった。

媽閣廟の巨大な線香!灰が降ってくる!

 後、最後にとーっても個人的などうでもいい話。
 マカオのコロアン島(橋でつながっている。)には、聖フランシスコ・ザビエル教会があって、昔はザビエルの骨が祀られていたんだけれど、今はこの場所はこじんまりとした漁村です。
ここが聖フランシスコ・ザビエル教会です。『宮クン』の最終話の舞台地です!

ここも『宮クン』で有名な図書館です。当日、ここで韓国人(でしょう、絶対に)のカップルが結婚写真をとっていました。

 せっかくマカオに行くのだから、コロアネに行って、聖フランシスコ・ザビエル教会に行って、ロード・ストーズ・カフェで発祥のエッグ・タルトを食べよう!って思っていました。ここ一年ほどだんだん韓国ドラマ・映画からは遠ざかっていたので、まあこのマカオ旅行を機に韓流もフェードアウトかなって感じだったのです。でも結果は惨敗。コロアン島、非常に居心地が良かったので、帰ってきてまた『宮クン』をみてしまいました。挙句の果てにマカオが舞台だったという理由だけで軽い気持ちでみはじめた韓国版の『花男』にも大いにハマリ(日本版には全くはまらなかったのに。)、最近、情けなさいっぱいで生活してます。やれやれ

TOKYO!

 昨日、仕事の帰りに角川シネマ新宿でついに『TOKYO!』を観た。これは東京を舞台とした3人の監督のオムニバス映画です。この3人っていうのが、とてつもなく豪華!「エターナル・サンシャイン」(この映画は不条理で泣けるラブストーリーです。大好き!)のミシェル・ゴンドリーに、「ポンヌフの恋人」のレオス・カラックス(大好きな監督ってほどじゃないけれど、まあ昔から気にはしている。でもこの監督は誰にも思いつかないような映像をみせてくれますよね。)そして最近何かとこのブログでも言及することが多いポン・ジュノ監督。
 それぞれ東京を主題にしていると言っても、3人とも一筋縄でいかない監督ですからありきたりの東京が舞台という訳にはいきません。私としては東京がどのように3人の目に映るのか、興味ありました。まずミシェル・ゴンドリーの「インテリア・デザイン」は加瀬亮扮する全く売れていない映画監督とその恋人である藤谷文子が上京してきて、伊藤歩扮する友人の狭いアパートに転がり込むお話です。全く世慣れていないちょっとファンタジックな恋人たちがトーキョーに飲み込まれていくところが見ごたえあり。それもありきたりな飲み込まれ方じゃないところが、ミシェル・ゴンドリーっぽく不条理で面白いです。
 レオス・カラックスの「メルド」は、カラックス作品の常連のドゥニ・ラヴァンが怪人と化して東京を徘徊するお話です。「ゴジラの東京」をカラックス風にアレンジするとああなるのかと思いました。ドゥニ・ラヴァンの怪演はお見事!だけれど、「ポンヌフの恋人」のようにパリのホームレスと掃き溜めのお話をあれほど美しく撮れる人がトーキョーだとこれですか?とちょっと悪意というかヨーロッパ至上主義のニオイを感じとってしまうのは深読みしすぎなのか、こちらの過剰反応なのかなあ?
 ポン・ジュノの「シェイキング東京」は香川照之演じる引きこもりのプロ(11年間ひきこもっています。)が蒼井優演じるピザの配達の女の子に恋をしてしまうというストーリーです。とても美しいお話でした。普通の住宅街をあれほど美しく撮れるのはいいなあ。夏の日差しと濃い緑がある種、幻想的で、その中で浮かび上がる蒼井優の姿がとてもかわいい。香川照之のいる家の中との陰影がいいです。だからラストがとても面白い。
 まあ最近の私の好みからいうと、ポン・ジュノ作品をひいきしているような気がしますが、3本とも見ごたえあって面白かったです。最近韓国映画ばっかりだったから、またミシェル・ゴンドリー作品なんかも集中的に見直そうかなと思いました。

 その他、家で最近みた映画は、「純愛譜」「LIES嘘」「誰が俺を狂わせるのか」「バイ・ジュン さらば愛しき人よ」「友引忌」。どれもなかなか見ごたえある映画でしたよ。こうやって並べてみると手当たりしだいみた割にはよいラインナップではないかなあ。