彼らが生きる世界

 いよいよ明日から3月か・・・。年度末のこの時期、忙しくなってくると、ますます部屋から出られずに、仕事だけがたまっていく。そのせいかついつい簡単に見られるテレビドラマ(か、軽く見られる映画とか)を多くみることになってしまう。ここ何年かのこの時期の年中行事になってきてしまった。
 最近みたドラマといえば、「イブの反乱」。韓国版「デスパレードな妻たち」という歌い文句がついてまわるドラマだけれど、本家をみていないので何ともいえない。最初は「花男」のキム・ボムのデビュー作って感じで見始めたのだけれど、面白かったです。何ていっても軽く見られたし、ソウルの2006年の夏の情景がなかなかよかったです。
 で、2007年のソウルの夏の情景が垣間見られるのが、今みている「完璧な恋人(原題では「隣人」)に出会う方法」です。私がはじめてソウルに旅行に行った時に放映していた作品なので、親近感をもってしまって、ストーリーとかあんまり期待せずに旅番組の延長みたいに見始めたのだけれど、予想外に面白い。ドラマ、コメディ、サスペンスの要素全てがごったまぜになっているんだけれど、割と破綻なく進んでいくのよね。ペ・ドゥナキム・スンウはじめみんな芸達者だし、結構豪華なドラマだよなあ。といっても、一番嬉しくなってしまうのは、ああ2007年の夏、ソウルでモネ展やっていたよなあとかトクスグンのまわりの道、私も歩いたとかそんなことばかりです。
 それでもって、最近一番心に残っているドラマはやはり「彼らが生きる世界」です。「グッバイ・ソロ」のノ・ヒギョンの脚本なので、ヒョンビンとソン・ヘギョ主演といっても、ありきたりのトレンディードラマにはならないだろうし、一風変わったドラマになるだろうなと思ったのだけれど、期待通りでした。ノ・ヒギョンの脚本は本当に味わい深いセリフの数々に脇役まで生き生きと動いていくドラマ展開、善人でもなく悪人でもない人物設定、本当に丁寧なよいドラマだなと思えます。視聴率は思ったほど上がらなかったらしいけれど、まあそうだろうな。我々はそこまで思慮深い視聴者ではないから(笑)。いつか「グッバイ・ソロ」もこの作品もゆっくり見直してみたいけれど、今のところちょっとムリ。

 ドラマ以外では、最近、国書刊行会の「新しい台湾の文学」シリーズにはまりつつある。今まで文学でアジアのものを読むことは全くなかったのだけれどね。今のところあんまり集中して本を読む時間がないので、遅々として進まずなんだけれど・・・。『台北ストーリー』などは予想外に都市的で読みやすかった。台北でも東京でもそのほかどこでも世界中の都市が加速度的に代替可能な記号になって現代では、それがいいのか悪いのかよくわからないけれど、結局は均一になっていくからこちらも読みやすくなるわけだ。そもそもそうでなかったら私は台湾の文学を読もうとは思わないかもしれない。あちこち旅行に行こうとも思わないかもしれないなあ。でもそうはいってもやっぱり台北ならではの肌触りがあるわけで、やはりそういうものにひかれて読んでいるような気がする。