映画「カポーティ」

恵比寿ガーデンシネマで「カポーティ」を観た。内容は「冷血」を書いていた時のカポーティの生活。作家の執筆ドラマって映画にしてしまうと映像があまりに静かすぎてつまらないこともあるけれど、これは結構面白かった。やっぱりカポーティっていう人がかなり複雑怪奇というか壊滅的に分裂気味といおうか、とにかくエキセントリックだったらしいのでストーリーとして盛り上がってます。フィリップ・シーモアホフマンのしゃべり方、あれはきっと実際のカポーティがああいうしゃべり方したんでしょうね。かなり過剰な演技です。それを静かに監督が映像にしていて、これで映画が引き締まってます。殺人犯との交流も友情とかそんな生易しいもんじゃなく、虚虚実実入り乱れて(いやどの局面もカポーティにとっては真実なんでしょう。それがこわい。)、善悪の価値判断なんてすっ飛んでいくような両者の駆け引きには息が詰まりました。
家に帰ってきて、「裏街の聖者」をDVDで観た。これは日本のコミックが原作らしいですね。でも香港の下町が舞台で主役はトニー・レオン。トニー・レオンは、心優しき下町のお医者さんという役どころ。話も映像も全体的にチープでいかにも映画のためって感じのバブリーな雰囲気のパーティーとかがますますチープな感じを盛り上げるんだけれど、なんだかそれがとっても笑える楽しい映画だった。
あと、もう一本みたのが、これはここ何日か何度か見直している「アンダルシアの犬」。先日、ダリ回顧展で唯一気に入ったのがこの映画。15分くらいの映画なんで何度も観ている。でもこの映画、訳がわからないんだよね。そしてかなりグロテスク。だから「好き」ではないのだけれど、でも魅入られてしまう映画。確かに亡き淀川長治氏がこのDVDの中で、「映画はこんなこともできるんだってこの映画を観て思った。」と語っていたが、現在観てもでもその通りのこと思える。