久しぶりに映画三昧

 引越しとか何やらで、最近、ほとんど映画が観れてなかった。映画なんか観れなくても案外生きてゆけると納得しかかったけれど、でもやっぱりちょっと違う。っていう訳で、南大沢の映画館にGO!とりあえずやっている映画をはしごすることにした。これぞ禁断症状ってヤツ?

「M:i:Ⅲ」
 まずは無難にトム様映画をみておこうかなと思って観てみた。「ミッション・イン・ポッシブル」は1しかみたことなくて、2はみてないんだけれど、今回3を観て、ブライアン・デ・パルマの1がちょっと懐かしくなってしまった。(あの出だしはアクション映画としてはすごく格調高くて、さすがデ・パルマって感じ。後半に崩れてくるところなんかもさすがデ・パルマなんだけれど・・・。)最近のトム様映画の特徴なんだけれど、何もかも全て入っている気がする。去年の「宇宙戦争」もほとんど映画のジャンルおさらいコーナーって感じだったし、今回もアクション映画大全って感じした。これでもかってくらいの過剰なアクションシーンにさまざまなトラップ。アクション映画にかかせない世界旅行、今回はおしゃれなローマ・バチカンをめぐる旅といかがわしさとモダンが交錯する中国・上海の旅にご招待ってな感じでした。悪役だってさー、フィリップ・シーモア・ホフマンだしね。相手に不足ないよねー。ストーリーはどんでん返しをいくついれられるかってことにこだわりすぎている。ここまでサービス精神過剰だと、笑いがとまんないな。まあ飽きはしません。脇役の役者は今回いいしね。ジョナサン・リース=マイヤーズは好きだし、マギーQも格好いい。でもビリー・クラダップはあんなになっちゃったんだね。「ハイローカントリー」のころは、ポスト・ブラピとか言われていたのに・・・。世界でこんな映画をつくって客が入るのはトム様しかいない。がんばれトム様!(って、私、トム・クルーズのファンでもなんでもないのになあ。)

ゲド戦記
 小さい頃、「ゲド戦記」にはまったことがある者としては、こんなやる気のない企画(なぜ3巻から?)は、たとえジブリでも許せない感じはするのだが、まあ文句を言うにしてもまずは観ないとねと思い、観ることにした。で、映画を観ている最中からずっと思っていたけれど、原作はこんな話じゃなかった(ような気がする)。だから原作から全く離れたものとして観たけれど、ストーリー、絵、声、どれをとってもそう悪くはないと思った。ただどれをとってもイマイチ感は否めなかった。こんなこと書いちゃうと、ただでさえ世間で袋叩きになっている作品なのに、それにのっかっているようでイヤだけれどね。絵なんかは、今までのジブリの絵のパステル画っぽいほんわかした感じに比べると、油絵風の重厚な色使いで、古臭い風景画っぽいつくりがアニメだとちょっと新鮮って感じした。ストーリーだって原作から離れて、作り手のいいたいことがビンビン伝わってきましたよ。でもあまりにストレートすぎて疲れる。まわりにいた子供たちがつまらなさそうに映画館の中をうろうろしているのをみるだけで、「ああ、やっぱり」って思った。いつもなら子供が映画館の中でうろうろしているのなんてみたら、絶対許せないって思うけれど、今回は「しょうがないよね。」と納得して全く怒る気にならない自分がいた。今までのジブリならどんなに難しい内容でも子供がわかる内容になっていたし、どんなにシリアスなシーンでも落としどころのキャラとか笑えるシーンとかあったもんね。「命」についてスローガンを叫んでいるだけじゃ、なんていっても子供はさっぱりわからんよね。

ハチミツとクローバー
 もう一本は、「日本沈没」かなあと思ったのだけれど、時間が合わなかったのと「日本沈没」は観たかったくせに過去にトラウマがあってやっぱり怖くて観れなかった。でまあ、なんとなく「ハチクロ」を観ることに・・・。原作は、前々から生徒から必読本に指定されていたけれど、ちょっとなあという感じで、今一歩、手が伸びなかったんですが、さらにその映画でしょう?うーんって思ったけれど、蒼井優伊勢谷友介などなど役者がそろっているので、観ることにした。で、観てみるとこれが結構よかったんです。
 実は映画の帰りに原作本を全部購入して、帰ってから全て読んだので、原作との比較になっちゃうけれど、やっぱり映画は映画で結構いい思います。役者が良かったんだと思う。その中でも蒼井優のキャラはかなりよかった。関めぐみ加瀬亮は原作読んだ後でもなかなか良かったんだって思うし、映画観ているときは「?」だった桜井翔も原作読んだ後ではそれなりに納得できた。まあ、でもそうはいっても原作のほうがやはりキャラクターは感情移入できるかな。原作のキャラたちは確かに恋愛にも一生懸命なんだけれど、それ以上にいろいろなことに一生懸命で「強く」て、その「強さ」に惹かれるんだけれど、映画はどうしても恋愛に軸を強く置くから、その分、登場人物の性格は弱まっちゃう。でも逆に映画は恋愛軸が強いから、とても「切なく」感じましたね。はぐ、森田君、竹本君、山田さん、真山君のどうにもならない気持ちがどうにもならなくて切ない映画でした。
 さらに切ない若者たちを見守る花本教授の気持ちとか、そういうものを信じられなくなっている理花サンの気持ちとかにも微妙に感情移入できるようになっている自分がいて、かつて切なかったであろう自分とか、それやこれやで今でも切なくなれる自分とか、過去も現在もぐちゃぐちゃになって大変切なくなっている今日この頃です。(笑) 

そうそう、デ・パルマといえば、映画館で「ブラックダリア」の予告をはじめて観たけれど、デ・パルマ作品なんですね。いかにもデ・パルマが好きそうな題材だもんなあ。それだけにどういう作品になるかも予想できて、笑いが・・・。今の段階で、映像が浮かんでくるのがこわい。願わくば、今、自分が考えている以上のデ・パルマ作品になって欲しいもんです。でも観ちゃうと思う。