最近の生活

 巷で大騒動に発展している盗作疑惑の画家の事件だが、ずっと事件の展開とは別に「みたことある絵だなあ」と個人的にひっかかっていた。あんまり美術に詳しくないのでどこで見たのかなと思っていたが、連日、報道が詳細になっていくのでやっと思い出した。国展で去年みているんですね。そのときは結構いい絵だと思ったことなどをクリアに思い出した。すっきりした!

 今日は最近読んだ本や映画音楽などをまとめておく。
最近読んだ本:
リチャード・マシスン「13のショック」(異色作家短編4)
最後にアッと言わせたり、予想もしない意外な結末へと持っていく短編作品のあり方としては、王道の作品集かなと思った。作者のプロフィールみるとTVとのかかわりが深いみたいだけれど、作品読むとなるほどと思わせるものが多く、映像が浮かんでくるような作品が多かった。作品中の「長距離電話」などは結末がいくつも考えられそうだし、TV作品にした場合、どの結末をとっても水準が高くなるような気がした。ただ、現在では逆にこの手の作品の意外性は、まっとうすぎるきらいはある。マシスンのようなパイオニアの力量あればこそってことなんでしょう。

村上春樹の「意味がなければスイングはない」を読んでから、ハルキ熱復活ということで村上朝日堂関係の本を読み返してみたら、結構、面白かったです。そうしたらタイムリーにもAERAに「昔の春樹に会いたい」なんて記事があって、福田和也斉藤環の対談もあり、そうか、自分の現在の行動はトレンドのままなんだと理解しました。ただ記事だと「ノルウェイ」以前を繰り返し読み返すらしいんだけれど、私の場合は半分あたっていてあたっていないかな。私がよく読み返すのは「羊をめぐる冒険」と「ねじまき鳥」。好きな作品っていうと、これに「世界の終わり−」が加わる。

最近観た映画:
ラヂオの時間
三谷幸喜の初監督作品。ラジオ局が舞台の密室劇もの。生でラジオドラマを放送していく間に起こる些細な出来事が個性豊かな俳優たちによって生き生きと演じられていく。この前観た「有頂天ホテル」なんかにくらべると登場人物が動いていないなあなんてことも思ったけれど、逆にヒューマンな感じはダイレクトに伝わってきた。

炎のランナー
 この映画、過去に何度観たかわかんないのだけれど、BSでやっていたので久しぶりに観てしまった。いやあ、改めて観てみたら、自分がこの映画からいかにジャンク情報を吸収していたか実感した。ブロードステアーズ(イギリスの有名な高級保養地)とかギルバート&サリヴァンオペレッタの数々、ウィンザー公のこととか1920年代のイギリスの雰囲気とかね。映画本編とは関係なく、よくこれだけ頭に入っていたもんだ。というわけで、今回も気になったことを一つ。
 この映画は1924年のパリ・オリンピックのイギリスのスプリンターの二人が主人公である。そのうちの一人、ハロルド・エイブラハムズはユダヤ人であることでイギリス社会からうける差別を跳ね返す手段としてオリンピックの金メダルを獲得しようとする。彼は勝利するためにプロのコーチをやとって練習するのだけれど、この行為はケンブリッジの教授たちから「ジェントルマンではない。」と非難される。それに対してハロルドは「ジェントルマンのアマチュアリズムでは勝てない。」と言い返した。
 今回見直して印象に残ったのはそのシーンではなくて、パリ・オリンピックにおけるアメリカチームの描き方だ。アマチュアリズムに徹しようとするイギリスに対して、プロにそしてシステマティックに対応するアメリカが案外丁寧に描かれているので感心した。もちろんこのオリンピックではイギリス人二人が勝利を収めたけれど、長期的にみればやはりアメリカの勝利だということもきちんと示唆されている。
 イギリス・アマチュアリズムの凋落というのは文学的なテーマの一つなのかもしれない。今、ふっと思い出したけれど「日の名残り」にも、イギリス人のアマチュアリズムでは国際政治は解決できないとアメリカ人(確かクリストファー・リーブがその役だったはず)が非難するシーンがありましたね。

「カンバセーション 盗聴」
 今日、BSで観た映画。この映画、前から観てみたかったので、BSでやってくれてよかった。コッポラ監督の作品で、ジーン・ハックマンが主演。盗聴を職業とする男が仕事で頼まれたある男女の盗聴の会話から危険を感じていくというサスペンス作品。事件の内容より個人のプライバシーにしのびよる盗聴という行為そのものに恐怖を感じる作品だった。ただし現在はこの恐怖はもっと我々の生活の身近にある恐怖であり、もっとソフィスティケイトされた恐怖なんだよなあ。
 しかしコッポラ作品っていうと、こんな小規模な作品でも出演しているのは「ゴッドファーザー」ファミリーなんで、凄みある。若き日のハリソン・フォードも出ている。コッポラって「ゴッドファーザー」や「地獄の黙示録」のような大作ばっかり取り上げられるけれど、この作品とか「レインメイカー」みたいな作品を本当に丁寧に撮れる監督だと思う。

最近聴いた音楽:
RADIOHEADにインスパイアされたCDを2枚聴いた。一枚はExit Music:Songs with Radio Headsこれは、トリビュートアルバム。ZERO7のボーカルのSIAもPARANOID ANDROID歌っていた。踊れるRADIOHEADってことで、オリジナルより気軽に楽しく聴けるアルバムに仕上がっている。もう一枚は、Hold me to this: Christopher O'Riley plays RADIOHEAD。アコースティックなピアノとRADIOHEADは合うと思っていたけれど、このアレンジは少し疲れる。もう少しシンプルアレンジのほうが好み。