シオドア・スタージョン「一角獣・多角獣」

 先週は勤め先の運動会があった。学校が変われば、運動会も全く違う。6学年対抗で何と今年は高3が優勝できなかった。かつて同じ経験をした者にとってはただ同情するばかりである。

 そしてさらに先週、犬が死んだ。末期ガンが両親の移転先の動物病院で見つかった。すぐに手術ってことになってあわてて手術の立会いに行ったけれど、着いたときは死んでいて、そのまま通夜・葬式(みたいなもの)ってことになってしまった。13年一緒に生きてきた犬なのに、死体をみても焼き場に連れて行って骨にしたときも、あんまり悲しくなかった。そういえば、焼き場に行く途中で道を間違えて山のほうに入ったら、小渕元首相の銅像が建っていて、ちょっと笑ってしまった。でも帰りの高速バスの中でなぜか号泣。近年あんなに泣いたことはないというほど泣いた。(あの高速バスには当分乗れないなあ。)

 そんなこんなで仕事をさぼってしまったので、週末からずっと家にこもって仕事。昨日も一日中、テストを作っていたけれど、午後からはやはりサッカーの日本代表の発表が気になってずっと見入ってしまった。あーあ、やっぱり松井はダメだったのか。まあ当落線上でムリとは思っていたけれど、最近はもう松井だけがみたくてサッカーの試合をみていたので(松井がでてなければみない。)、かなりがっかりだ。
 昨日はそれ以外にもフジで「曲がり角の彼女」の再放送みたりしたけれど、なんだかなあと思った。30代女性はこう考えるべきなのかあというスタンダードがちょっとわかった気がして、面白かった。ただ稲森いずみは負け犬路線の30代女性は全く似合っていない。(これはほめ言葉。)稲森いずみでさえこれだけ惨めなんだから、現実の女性はもっとどんよりしろってこと?(まさかね!)

 今日は午前中で勤めが終わり、新宿に寄ったんだけれど、途中でものすごく気分が悪くなってしまった。考えてみれば、昨日、ほとんど何も食べてなかったことに気づき、近くにあったレストランでランチを食べた。そうしたら隣にいたイタリア人が赤ピーマンを全部よけて食べていて、ああいうの面白いなと思った。日本人でも漬け物嫌いでもいいじゃないか(実は嫌い。)と、ちょっと励まされた。でも反対側の隣に座っていたおばさんは怒鳴りながら食べていたので、これはちょっと怖かった。近くのテーブルに座っていた二人組が同じことばっかりしゃべっていてうるさいのだそうだ。たまにランチをレストランで食べてみるのもいろいろあって楽しいものである。

 こんな生活でみた映画は先週にジャームッシュの映画を二本。「ダウン・バイ・ロー」と「ミステリー・トレイン」ミステリー・トレインは永瀬正敏工藤夕貴が出ているので有名。どちらの映画とも(今となってはかなり昔のことみたいだけれど)面白かった。「ミステリー・トレイン」の方がよりストーリーが動的だけれど、ジャームッシュの「何も起こらないおかしみ」みたいなものは、「ダウン・バイ・ロー」の方が鮮明かな。
 
 忙しくて本はほとんど読んでいなくて、シオドア・スタージョンの「一角獣、多角獣」くらいしか読めなかった。短編の魅力ってよくも悪くも切り口の見せ方だと思う。私なんかは、短編の切り口に関しては鋭いものが好きだし、どちらかというとその切り口の鋭さにたじたじとなるくらいがちょうどよいと思ってきたが、スタージョンのこの短編は切り口はちょっと間延びしたものが多い気がした。題材もファンタジックなものが多い。でもなんだか読んでいるうちにクセがあって面白いなと思い始めた。触れれば切れるような鋭さだけを追求しなくても、短編には他の見せ方もあるんだってことがなんとなくわかった気がした。