デ・キリコ展

 最近、体調があまりよくないのだけれど(家でだらだらしているのもそのせい)、今日は久しぶりに外出した。東京の大丸ミュージアムでやっているデ・キリコ展を観にいく。デ・キリコの絵は、結構好きだ。特に初期の作品はすごい。シュールレアリスムの画家に多大な影響を与えたっていうのはよくわかる。今回は後期代表作っていうんでそんなに期待しないで行ったけれど、やっぱり期待通りといおうか大したことなかった。まあ、もう別に覚悟しているからいいけれど、本当、後期の絵って何でもない。制作年とサインしている年のちがう絵が多いのに至ってはジョークとしかいいようない。
 こんなに悪口ばっかり言っているけれど、今回は最初からあまり期待していなかったせいか実は楽しくみれた。デ・キリコって後期はひどいっていわれているけれど、よくよくみればギリシア古典に題材をとった絵なんかデザインとしてはなかなか面白いなと思った。これはこれで悪くない。
 ただデ・キリコの初期の絵はこんなもんじゃない。ブリュッセルの美術館でデ・キリコの初期の作品を偶然見かけた。なぜかそのときその絵から離れられなかった。気づいたらその絵の前に1時間以上いた。私が、そんな体験をしたのはデ・キリコだけだ。その追体験がしたくて、デ・キリコ展があるとついつい出かけてしまうのかもしれない。もちろん後期の絵からそんな体験はできるべくもないのだけれど、初期の啓示が消えてしまったからといって、その画家にたいしての尊敬の念が消えるという訳でもないのだ。