映画、映画、映画

 今日は、先日からずっと観にいこうと思っていた「シンデレラマン」と「チャーリーとチョコレート工場」を地元の映画館に観にいった。(本当は他にも2本くらい観たかったのだけれど、朝寝坊してしまった。)
シンデレラマン」は、大恐慌下のアメリカに実在したボクサー、ジム・ブラドックの話。1920年代の後半に華やかな生活をしていたブラドックだが、大恐慌を境に生活も苦しくなり、怪我も重なり、ライセンスまで取り上げられ、引退せざるを得なくなる。1934年、たまたま一夜限りの前座試合で思わぬ成果を上げたことから、カムバック。ついにヘビー級チャンピオンのタイトルマッチに出ることになった・・・・。
 大恐慌下のアメリカで一度は挫折したボクサーが不屈の闘志を燃やして、暗い時代を生きる人々にささやかな希望と勇気を与えるという話。本当、アメリカ人の好きなモチーフですね。そう、最近だと「シービスケット」みたいな映画。でもアメリカ人は、この手の映画は、いつもいい映画を作ると思う。監督のロン・ハワードもこの手のヒューマン・ドラマを正攻法できっちり作るタイプだし・・・。結構、感動できたし泣けた。

チャーリーとチョコレート工場」は、ロアルド・ダールの童話が原作。子供の頃、この作品の原作が大好きだったので、正直、最近まで観にいくかどうか迷っていたのだが、結構、私の周りでは評判いいみたいなので観ることにした。で、観てみて、正直、原作との間に違和感があることはあった。自分の小さい頃からのイメージとの違いみたいなものを感じた。けれども、映画みて自然とがっかりこなくて、むしろ映画みて今さら気づかされた。子供の頃の私はあの原作の中にハートウォーミングなものだけ感じていたわけじゃなかったんだってこと。ダールといえば、大人向けの作品では「奇妙な味」と呼ばれるショートストーリーを得意とする作家。私は長年、そのダールと子供の頃大好きだった「チョコレート工場」のダールは別人だと思っていたのだが、やっぱりそんなにかけ離れている訳じゃないんだよね。今回の映画だって普通の監督だとハートウォーミングな童話にしてしまうのだろうけれど、ティム・バートンはいつもながらのどぎついファンタジーの映像の中に、ダールがもともと持っている「毒」のようなものをうまく表現している。だから大人が観ても十分楽しめるのだろう。それにジョニー・デップは、ワンカという一筋縄でいかないキャラクターをうまく演じていたし・・・。それにしてもウンパ・ルンパの音楽と踊りはかなり笑えた。


後、この一週間、家でみた映画をあげておく。
どれもウォン・カーウァイ作品「ブエノスアイレス」「恋する惑星」「欲望の翼」「天使の涙
 どの作品もよかった。4作品ともストーリーはそれぞれ違うし、趣みたいなものも異なるのでまとめて語るのは難しいのだけれど、あえて言うならば、どの作品にも出てくる「人と人のつながりの不思議さ」みたいな考えは、結構、共感して観てた。それも大仰な「人と人の絆」みたいなものじゃなくて、そこら辺ですれちがう人と人のつながりが不思議なことなんだとか、日常生活の周囲の人々とのつながりが実はとんでもなく奇妙なことなんだとかいう感じの映像が良かった。ただストーリーとしては、どの作品も散漫な部分がある。どれもオムニバス作品なんじゃないかと思えるほど、断片化しているしね。でもそれは欧米風のストーリーの整合性を是とするこちらの考え方ゆえであって、他の可能性もあっていいのかもしれない。