レス・ザン・ゼロ

 台風が来るので、午前は少し警戒していたのだけれど、思ったより遅い台風だとTVで言っていたので、午後は髪を切りに出かけた。行きつけの美容院は予約不可のところでいつもはものすごく待ち時間が長いのだけれど、台風のため混んでいなかった。ラッキー。
 
 夜は、ここ2、3日、NHKBSでエルキュール・ポアロシリーズを観ている。デヴィッド・スーシェがやっているこのポアロシリーズは、本当にほとんど原作に忠実なので大好きである。今回は「ナイルに死す」(スケールでも映画に負けていなくてよかった。)「杉の柩」(原作のよさが出ていた。)ときて、今日は「五匹の子豚」。アガサ・クリスティーの作品の中でももっとも好きな作品のひとつだ。この作品は、キャラクターが実に際立っている。クリスティーの人間観察の鋭さがよくわかる一作だ。それに「回想の殺人」の手法。過去に起こった殺人事件を再構成することによって真実を浮かび上がらせる手法なのだが、この作品はその浮かび上がらせ方が見事で、この作品の成功によっていささか時代遅れになっていたポアロという存在は生き延びたんだろうなと思う。
 今回のドラマも期待以上に映像がはまっていて嬉しかった。原作と違う変な味付けがいくつか気になったけれど、まあそれについては我慢しよう。明日は「ホロー荘の殺人」これもまた楽しみである。

 後、今日は「レス・ザン・ゼロ」をDVDでみた。先日、アンドリュー・マッカーシーのことを思い出して、ちょっと彼の作品をみたいなと思ったのだ。ストーリーは、ビバリーヒルズのお坊ちゃまがハイスクールを卒業して仕事に失敗してヤク中になって死んでしまうという内容。幼馴染のアンドリュー・マッカーシーは友を助けようとするのだけれど、うまくいかない。ヤク中で死んでしまうロバート・ダウニーJrの好演が光る(絶対、あれは地だね)作品。マレク・カニエフスカは「アナザー・カントリー」の監督だし、バングルズやスレイヤーの音楽、ロバート・ダウニーJrにアンドリュー・マッカーシージェームズ・スペイダー(オールバックのヘアスタイルが笑える。本当は、結構、好きな俳優なんだけれど。)と出演者はそろっているし、原作はブレット・イーストン・エリス。80年代に沈没寸前のMGMが若者、酒、ドラッグ、ロック、セックス、暴力などのキーワードをてっとりばやくまとめたこの手の映画つくって、さらに沈没したのだけれど、それらのチープな亜流にくらべれば、確かにこの映画はよくできている。でも一方で80年代のその手の映画の域は出ていないというか、そんな気もする。いや、80年代くさすぎて、もう少し時間がたってみたら切なくなるかもしれない。10年以上あとに見直してみたい。