恵比寿ガーデンシネマ

 今日は、恵比寿ガーデンシネマで映画を2本観た。まずは『サマリア』。キム・ギドク監督の作品で、ベルリン銀熊賞をとった韓国映画である。内容は、二人の親友同士の少女、チェヨンとヨジンについての物語。チェヨン援助交際をしていて、ヨジンは援助交際をしている親友の気持ちが全く理解できない。けれどいつもホテルについていって外で見張っていた。ある日、ヨジンがいつものようにホテルの外で見張っていると、彼女がほんの一瞬目を離した隙に警察の手入れが入ってしまう。警察に追い詰められたチェヨンは、ホテルの窓から飛び降りて、死んでしまった。残されたヨジンはどのように親友の死を乗り越えていくのか?実は、昔、この映画に似たストーリーを思いついたことがあって、そういう意味で絶対観たかった映画だったのだけれど、なぜか最終日に観ることに・・・。
 というわけで、観た感想。正直いって、すごく感動した部分と戸惑った部分がある作品だった。物語が、途中から、ストーリーの中心がチェヨンへの贖罪の気持ちから援助交際をはじめたヨジンではなくて、そんな娘の姿を偶然目撃してしまったヨジンの父親の苦悩になってしまうからだ。娘の贖罪の気持ちと、そんな娘の苦悩がわからず、かといって問いただすこともでないままに、娘の相手を脅かしたり暴力をふるったりする父親の気持ちのすれちがう部分はすごくよく描けている。そして父親の娘を思う行動は、最後にはより大きな悲劇を引き起こす。そのあたりのストーリーや映像の一つ一つが細かく表現できているのには、本当に感動できる。(結末は、ちょっとどうかなという部分もあるけれど・・・。)しかしやはり娘から父親へとストーリーの視点が移動したのは、この映画の構造的欠陥であるという気持ちがぬぐえないのだ。ヨジンを描ききれていないこと、チェヨンの死についての説明不足の部分、これらが最後まで宙ぶらりんだったような気がする。贖罪とは、どういうことなのかってことをもっときっちり正面から描いてほしかった。(まあ、それはとっても難しいことだと思うのですけど・・・。)


 二本目は、ウッディ・アレンの最新作(でもないらしいけれど、2002年の作品だから)
さよなら、さよならハリウッド』。ウッディ・アレンは大好き。物語は、かつては巨匠で、今は落ち目になった映画監督が、元妻の不倫相手の映画会社、元妻のプロデュースによって大作に大抜擢されて、復活をねらうものの、クランクイン直前に目が見えなくなってしまう。しかし大事な復活のチャンスなので、周りに目が見えないことを隠したまま映画は撮影開始するのだが・・・。ニューヨークを舞台にしたウッディ・アレン節が炸裂で、楽しかった。ベターッとした恋愛映画ともいえるのに全くそう見えないのはいつもながらだし、シャレていて笑える会話がこれでもかというほど繰り出されてくるのもいつもながらだった。今年は、来月にも、もう一本ウッディ・アレン作品が観られるようで、楽しみである。

 後、今日は映画を観ている間に2冊の本を読み終えた。
平岩弓枝御宿かわせみの最新シリーズ『小判商人』(時代小説って最近は、もうあんまり読まないけれど、このシリーズは途中でやめるわけもいかずに読み続けている。)
福原泰平、『ラカン』(現代思想冒険者たちのシリーズであるが、正直この本がラカンの入門編となるのかどうか疑わしい。)