アール・デコ展など

 
 今日は、上野の東京都美術館の『アール・デコ』展に行った。ロンドンのヴィクトリア・アルバート美術館の収蔵品が中心の展示で、今までに見たアール・デコ展と展示品が重複していなかったのが大変よかった。館内はあまり混んでいなかったので、ゆっくり見学できたのが特にありがたかった。1920年代こそ、現在の消費社会、大衆社会の原型ともいうべきものだったと思う。なんか言いようもなく惹かれるんだよね。

 アール・デコ展のあと、時間があったので、同じ都美術館内でやっていた『国展』も見ることにした。『国展』は、昔、通っていたお絵かきの先生が入ってたこともあって、10代の頃は毎年見にいっていたのだけれど、見るのは、本当に久しぶり。(アール・デコ展の半券で300円引きにしてくれたのはラッキー。)『日展』なんかにくらべると、技術的には少し粗い絵も目立つのだけれど、抽象画なんかも多くて、いわゆる「新しい絵」が多いので、私は昔は大好きだった。だから今回も期待してみてみた。うーん、相変わらず楽しい絵が多い。けれど昔にくらべると具象画が多いかな?それに昔はもっとなんというか、絵を一目みてその絵の世界に入っていけるというか、異世界を垣間見ることができるという感じがあったのだけれど、今回はそういう絵はあきらかに減っていた。私が年取ったせい?それより気になったのが絵の題、やたら「記憶」って言葉が入っている題が多かったのだけれど、そんなに記憶喪失なのか?

 夜は、家族でスペイン料理を食べに行った。最近の我が家のお気に入りのスペイン料理屋、隠れ家的で、大変雰囲気が良い。今日もおいしかった。

 帰ってきて、家で映画を観た。『世界で一番不運で幸せな私』。不可能なことを相手に命令しあって、相手がその要求を果たすかどうかをみるゲームで育ってきた幼馴染の男女(フランスで「のる、のらない?」っていうのが流行したという。)が、年頃になってもゲームでしか自分の気持ちをいいあらわせなくて、期せずしてお互いを傷つけあってしまうというストーリー。「素直になれない恋愛感情」がモチーフの映画って、自分の恋愛感情を一度素直に認めてしまうと、馬鹿みたいにウェットなストーリーになる場合が多いと思う。逆にこの手の映画はそういうハッピーエンドしかありえないと思うのだけれど、この映画の面白いところは、通常のこの手の映画で考えられる地点になってもハッピーエンドに「堕落」しないところにあると思う。まあそれか、自分の気持ちに素直にならないと、あとでとんでもないことになるという教訓話として受け取ってもいいかもしれない(笑)。