映画 『ブラッド・シンプル』

 今日は家のDVDでコーエン兄弟の『ブラッドシンプル』を観た。コーエン兄弟のデビュー作だと思うのだけれど、とっても面白かった。最近のコーエン兄弟とちがって笑いはなく、かなりの野心作だった。ストーリーは、酒場の経営者とその妻とバーテンである愛人、そして酒場の経営者がやとった殺し屋たちのすれちがったやりとりから起こる殺し合いというか、そんな風な内容。少しオトボケが入るやりとりにするのが最近のコーエン兄弟だろうけれど、この作品ではいっさいそういうことはなく、どちらかというと登場人物の表情とかをじっくり追ったり、道とか部屋の小物のクローズアップが挿入されたりして緊迫感をあおる映像でつくられている。どちらかというと正統なサスペンス映画っぽい。コーエン兄弟が、あのままの路線を突っ走っていっていたら、それはそれで面白かったかも・・・。(そういえば、今日、同僚がその手の映画のことを「ネオ・ヒッチコック」派と呼んでいたが、この映画こそ、まさにそんな感じ。)血へのこだわりというか血の見せ方というと、後の『ファーゴ』を思わせるシーンもあったりしてそれも結構、面白かった。


 あとは、今日、長らく読むことを怠ってきたバルザックの『ウージェニー・グランデ』をやっと読み終わった。『谷間のゆり』は、本当に読むのに苦労したというか、もうほとんど全く理解不能の恋愛小説だったのだが(主人公に本気で説教したいと思ったことが何度かあったくらいだ。)、この『ウージェニー・グランデ』はそれほどでもなく、わりと無理なくストーリーを追うことができた。とにかく読み終わってホッとした。