スティーヴ・エリクソン 『黒い時計の旅』

 今日、スティーヴ・エリクソンの『黒い時計の旅』を読み終わった。この本は、現在、絶版中でなかなか手に入らないので、長い間、読みたいと思ってきたのだけれど、手に入れたらあっという間に読み終わってしまった。(もっとゆっくり読めばよかったな。)
 で、この本は、ゲリという最愛の姪を亡くしたヒトラーのために、彼女が登場するポルノを書きまくったアメリカ人の男をめぐる物語。虚実の歴史が入り乱れて、独特な物語世界が構築されるのはいつもながらのエリクソンの手法。どうして、あんな奇想天外なストーリーを思いつけるのだろう?しかも歴史を題材にしながら、どうしてあのような幻想的な物語を書くことができるのだろう?とにかく圧倒された。しばらく物語から戻ってこれなかった。
 それからこの作品は、アメリカ人が書いたウィーンが出てくる小説としては、アーヴィングの『熊を放つ』とならぶ名作だと思う。

 あと今日は、仕事の帰りに立川のHMVによった。2枚買うと1枚1690円になるというので、BECKのGUEROとMUTATIONS、それからLEMON JELLYのLEMONJELLY. KYとZERO7のSIMPLE THINGSを買った。BECKは、まだぜんぜん聞いていないのだけれど、LEMONJELLY.KYとZERO7は聞いた。LEMONJELLY. KYは初期の作品らしいけれど、かなりよい。LOST HORIZONSにくらべると音はシンプルだと思うのだけれど、それがまたいいというアルバム。ライヴからまだまだあとをひきそうである。
 ZERO7は実は前から大・大・大・大好き。特にSIMPLE THINGSは、一時期、中毒だった。(去年、フジロックに行かなかったこと、ものすごく後悔している。)けれどコピーしか持っていなかったので、やっと買った。そんなわけで、はじめてじっくりライナーノートを読んだのけれど、一緒にスタジオを立ち上げたメンバーとして、ナイジェル・ゴドリッチ(RADIOHEADTRAVISのプロデューサー)の名が・・・。何か妙に納得。そしてCDも久しぶりに聞いてみたのだけれど、やっぱり最高だった!チル・アウト・ミュージックっていうのは、ZERO7のためにあるような言葉だ。音もいいし、ヴォーカルもすごくいい。涙が出る。