エミール・ガレ展など

 朝、昨日ファーストデイで観られなかったインディ系の映画でも観に行こうかなと手持ちの映画チケットを見ているうちに気づいた。春休み前に同僚からもらったエミール・ガレ展が明日までだ!というわけで、あわてて江戸東京博物館へ行った。
 そのエミール・ガレ展だが、これが土曜日のせいなのか、終了日間近だからか異様に混んでいた。(帰る頃は完全に入場制限していた。)大体、日本の博物館って混みすぎだと思う。なんで、ああいう風になるのかな?展示を見ているうちに、ちょっとうんざりしてくる。ガレって言ったって、たかがガラス器じゃないか。されど・・・やはりガレのガラス器である。手法が斬新。様々な手法にチャレンジして開拓していったのは素人にもわかる。また、モチーフが美しい。非常に詩的である。ただし個人的な好みをいえば、私はエミール・ガレよりはルネ・ラリックが好きである。ガレというよりアール・ヌーヴォーは、少し装飾過多で感傷的だ。(まあ、それが特徴なのだから仕方がない。)


 エミール・ガレ展の後、六本木のヴァージンシネマズに移動して、映画『アビエイター』を観た。これが非常に良かった。元々、私はこの映画のレオナルド・ディカプリオが演じたハワード・ヒューズには興味があってハリウッドで伝記映画つくってくれってずっと思っていたので、期待してこの映画を観たのだけれど、期待以上によかった。ひとえにマーティン・スコセッシが丁寧に映像化してくれたおかげである。ハワード・ヒューズは、親が石油掘削機でもうけたお金を、映画作りと飛行機作りに惜しげもなくつぎ込んで、それらで成功した1930年代40年代の伝説的な人物。その天才的な才能とエキセントリックな行動と異常な晩年で有名だった。(映画では晩年までは描いていないのだが、映画の後半で暗示されてはいる。)これをレオナルド・ディカプリオは非常にうまく演じていた。また彼の恋人だったキャサリン・ヘップバーンケイト・ブランシェットが演じていて、これも非常にうまかった。(ケイト・ブランシェットは、この演技でアカデミー助演女優賞を受賞。) 二人の関係は、当時は結構秘密だったので、本当に映画で描いたようなものだったのかどうか、そこらへんは少し謎だけれど、でも変にゴシップっぽくならなかったのがよかった。今年のアカデミー賞では必要以上に冷遇されてしまったような気がする。

 映画を観終わった後、今度は、渋谷に移動。アミューズCQNで映画『カナリア』を観た。この作品はオウム(映画の中ではニルヴァーナという教団。)のサティアンにいた子供のその後がテーマ。児童相談所を逃げ出して、祖父にひきとられた妹を助け出そうとする少年が主人公で、その少年が祖父のところにたどりつくまでに出会った人々や出来事がサティアンでの過去の回想を含みながら丁寧につづられている。割と地味なストーリーなんだけれど、そこがよかった。変にひねっていないので力がある。ただ途中で出会う人々やその人々との会話が妙に「出来すぎている」って感じはした。谷村美月演じるユキっていう少女などは、すごくよいキャラでこの映画をひっぱる力になっているのだけれど、でもセリフはすごく平板に感じてしまった。他のキャスト、りょうとか西島秀俊のキャラなんかにも同じようなことがいえる。
 ただ、今日、この映画が終わったあとで、塩田明彦監督とエンドロールの歌を歌ったzazen boys向井秀徳トークショーがあって(実は、終わるまでトークショーのことは、知らなかった。補助席に座ったので、いやに混んでいるなあとは思っていたけれど、土曜日のせいだと思っていた。)そこで塩田監督が、この映画のエンディングのことを「つかの間の希望」って言ったのだけれど、確かにこの映画はそういう映画なんだよなって思った。映画の中の人物がすべてまだ途上なので、ああいうセリフを言うしかなかったのかもしれない。トークショーがはじまったときは予定外だったので、「最終回の上映のあとなのに・・・・」って気が遠くなりそうだったけれど、30分足らずの短い時間の間に映画や映画音楽の話や向井秀徳が「自問自答」をアコギで歌うライブあったりで、すごく良かった。とっても得した。
 
 追記:映画の中で、主人公の祖父が住んでいた場所が、私が以前に住んでいたところだったので、一瞬、ドキッとなったが、映画の中の家はさすがに違っていた。