G.ガルシア=マルケス  『予告された殺人の記録』 

 今日、『予告された殺人の記録』を読み終えた。短いのでさらりと読めるだろうと思って手に取ったが、予想以上にガツンときた。物語は、結婚の不成立によって実家に戻された娘の兄弟が、不成立の原因になった(と思われる)男を殺すという内容。いってしまえば本当にそれだけの話なんだけれど、時系列通りに語られない叙述方法が際立っているし、最初から明らかにされている殺人に向かって、登場人物たちのさまざまな感情や思惑が一つのうねりとなって、逃れようもない悲劇を形作っていくストーリー展開が、とにかくすごい。ストーリーの中の一つ一つのエピソードが際立っているのだけれど、殺人の原因になった娘のその後の物語が好きだなと思った。
 フィッツジェラルドに「魂の漆黒の闇の中では、時刻はいつも午前三時だ。」っていう名句がある。そういう言葉を体感する物語に出会うと震えがくる。

 いいですね、ラテン=アメリカ文学。マイブーム突入?元々、正月ころから、詩人のパブロ・ネルーダ(映画『イル・ポスティーノ』の詩人ですね。)にはまり、そのつながりで、今回、ガルシア=マルケスにたどりついたのだけれど・・・。『百年の孤独』もう一度、読んでみようかな?