映画『ゴールキーパーの不安』

今日は寒いので外にも出ず、週末に家に持って帰ってきた仕事を片付けているが、合間にビデオでヴィム・ヴェンダース監督の『ゴールキーパーの不安』観た。1972年のヴィム・ヴェンダースの長編第一作(らしい)。オーストリアの作家のペーター・ハントケの同名の小説が原作なので(残念ながら原作は読んでいない。)、どこまでオーストリアを使うのか興味があったのだけれど、ウィーンやオーストリアの風景や設定はわりと忠実に映画の中に生かされていたような気がする。
 映画の内容は、試合から外されチームから離れたゴールキーパー(一時的なのか永久なのかよくわからない。)の怠惰な生活を描いている。主人公のキーパーの男は、いきずりの女たちとどうでもよい会話をしゃべり、情事を重ね、そんな中で映画館の受付の女性をふと殺してしまう。その後は逃亡生活にみえなくもない逃亡生活を送り、そこでもなじみの女性を訪ねて国境付近の街をぶらぶらしている。最後は、サッカーの試合はキーパーを見るべきだと力説しているところで映画は終わる。およそサッカー映画とは縁もゆかりもない映画であった。もう少し、一人でゴールを守る男の孤独のようなものと生活の中での行き場のない哀しみのような関係を緊迫感もって描いているのかなとも思ったのだけれど、そうでもないような気がした。でもまあ独特なタッチといおうか、ヴェンダースヴェルトであるストーリー、70年代的映像に理解が示せれば、よい映画である。特に私はヴェンダースの映像の独特な原色が好きなので、もうこのころからこの色出ていたんだとちょっと嬉しかった。